変形性膝関節症とはなにか

1-1関節の構造
1-2変形性関節症の関節はどうなっているの
2.変形性関節症の原因と症状
3.変形性関節症の診断
4.変形性関節症(膝)の治療と改善方法
4-1治療の種類
4-2変形性関節症の運動器リハビリテーション(リハビリ)
4-3 変形性膝関節症の予防によいこと

1.変形性関節症とはなに。
1-1関節の構造
全身に200以上ある関節の中で一番大きな関節は膝関節です。関節にある骨には先端部が軟骨になっています。膝関節には前面に軟骨でできた半月板があり、脊椎は椎間板を骨が挟んでいる構造をしていて、靭帯が補強する構造になっていますが関節とは呼ばず、「柱」の文字を使い脊柱とよび、蛇腹のような動きをする構造です。股関節や肩関節は球状の骨(骨頭)をもった関節になっているので回転する動きができます。関節が滑らかに動けるのは骨の先端にクッションの役目をしている軟骨があること、潤滑油の役目をする滑液がその骨を包む関節包の中にあるからです。

1-2変形性関節症の関節はどうなっているの
関節を構成している骨、軟骨などに変化がおきて痛みや歩行障害があるものを「変形性関節症」と呼んでいます。全身にある関節のほとんどに変形性関節症はおこります。関節に起こる変化は関節を構成している軟骨が減っている場合や、関節包の中にある滑液の量が減っている、あるいは骨が変形している場合に症状がでてきます。

日本人の脚は内側に傾き、O脚になりがちな湾曲をしている人が多いことから膝を悪くしやすいとされ、座る生活が多いことも変形性関節症になりやすいといわれています。股関節では先天的な変形によって関節の動きが悪く、歩行障害をまねく「形成不全」という病気も知られています。

軟骨がすり減るとは、肥満や激しい運動により軟骨に負担がかかり軟骨が磨耗していることをいいます。その時に摩耗片(削りかす)が出てきます。でてきた摩耗片を分解物し修復する働きもからだには備わっています。修復してくれる仕組みの中の段階の一つに炎症はおきると考えるべきなのですが、炎症によって腫れがおこり痛みが続いてしまうと変形性関節症になっている状態になります。

関節包の内側にある 滑膜(かつまく) という膜にも炎症はおきています。関節包の中にある滑液は軟骨に栄養や酸素をあたえる働きをしているので、関節に炎症がおこると修復しようとして滑液も増えていきます。「関節に水がたまる」と表現することが多いのもそのためです。変形性関節症の症状である炎症はさらに関節に負担をかける原因となり修復と炎症を繰り返す悪循環を形成します。

「変形性膝関節症の知識」監修: 神戸大学医学部整形外科教授 黒坂昌弘
監修協力: 橋村正隆

2.変形性関節症の原因と症状
変形性関節症のおきている関節は動きが悪くなっています。関節の悩みで最も多い場所は膝関節で、女性は男性の2倍近くの数で関節の症状が出ています。原因に女性ホルモン(エストロゲン)が関係しているからです。そのため50歳以上の女性の軟骨は摩耗する速度が速くなります。加齢や、肥満のほかにはスポーツ、仕事による関節への負担、遺伝、あるいは事故も原因になります。

骨、軟骨の減少は多少の個人差はあるものの、避けては通れない加齢による関節の変化があります。「使い痛み」と答える人が多いように年齢を重ねるとともに弾力性を失い、軟骨を修復する能力も弱くなるためです。肥満による関節への負担やスポーツによる使い過ぎ、外傷による関節の変形は若い人にも多く、半月板を支える「前十字靭帯」を損傷する合併を起こすこともあります。

3.変形性関節症の診断
変形性関節症は通常、X線撮影(レントゲン)を使って診断します。軟骨の部分はレントゲンには写らないため、軟骨の病変を直接見ることできませんが、骨と骨のすきまのようすから骨の形を観察し医師が判定します。関節軟骨や滑膜(かつまく)、靭帯などの状態をみるにはMRI撮影の検査を行います。さらに変形性関節症以外の病気、たとえば関節リウマチといったような病気が疑われる場合は血液検査や関節液の検査を行い診断していきます。

「関節リウマチ」は膠原病に含まれる病気の1つで、指や膝以外の関節にも炎症が起きる病気です。全身的な病気なので微熱をともなっていることも多く、1カ所の関節が痛む変形性関節症とは異なる点です。リウマチの患者数は国内で約70~80万人いるとされています。関節リウマチも早期に治療を始めることで重症化を防ぎ、日常生活を送ることができる治療法が確立してきました。関節の痛みや腫れが続く場合は躊躇せず整形外科の受診をおすすめします。
参考:「変形性関節症診療ガイドライン」 平成20年5月 日本整形外科学会診療 ガイドライン委員会

4.変形性関節症(膝)の治療と改善方法
4-1治療の種類
変形性関節症の治療方法は症状によって異なります。ごく初期で痛みだけがある場合は初期治療として外用薬(貼り薬、塗り薬)と運動を行う治療をします。慢性的な痛みが続いている場合には、初期治療に温熱治療(物理療法)や関節内にヒアルロン酸を注射する方法をとりいれます。これらをまとめて保存療法と呼びます。

痛みが激しく変形がおきている場合は手術治療も検討されます。手術には内視鏡を使った関節鏡手術や、ふくらはぎにある脛骨という骨を切り、変形を矯正する骨切り術や金属やセラミックで作られた人工の関節に置き換える人工膝関節置換術での治療をとりいれます。

4-2変形性関節症の運動器リハビリテーション(リハビリ)
膝関節のリハビリは大腿四頭筋を強化する訓練をすることで関節の動きをよくする目的で実施されます。関節の動く範囲を広くリハビリは関節可動域改善訓練と呼びます。運動器のリハビリはごく初期から術後まで幅広く用いられる治療法で、体調や年齢、運動障害などの状態に合わせて長続きできるようにいくつかの運動を組み合わせて用いる治療方法です。

運動を長続きさせるコツは、日常の生活に運動を組み込むことがポイントです。思い付きで体調に合わない強すぎる運動を始めると膝関節の症状を悪化させる原因になります。変形性膝関節症に良いとされるリハビリは比較的動きが緩慢なので日常生活に組み込みやすい運動になっています。貧乏ゆすりに似たジグリングと呼ばれる方法もあります。ジグリング(貧乏ゆすり)の方法は椅子に座って、膝関節と股関節を直角にした姿勢で座るのが基本です。踵を2センチ程度、上げ下げする「貧乏ゆすり」と同じ動きなので日常生活に取り入れやすく、膝関節に無理なくできる点でお勧めです。

4-3 変形性膝関節症の予防によいこと(日常生活での注意点)
加齢は予防できないものですが加齢によるからだの変化は遅らせることができます。健康年齢と体力は関係があるので体力を維持するためには栄養、運動、休養の三大要素と呼ばれることを始めると良い。近年、骨や筋肉はいつでも増やせるとまで言われるようになりました。

※日常の生活に取り入れてみると良い膝関節の予防方法の4つご紹介します。
(1)ふとももの前の筋肉(大腿四頭筋)を鍛える。
膝関節の前側を覆うように固定されている大腿四頭筋は変形性膝関節症を防ぐ運動に重要です。大腿四頭筋を鍛える運動には歩行や立位の時に欠かせない膝をとりまく筋肉を鍛える運動になります。お尻にある中殿筋も鍛えられます。ふらつきがある場合は杖の使用も考えると良いでしょう。

(2)正座をさける。
膝関節はとても複雑な構造をしている関節です。正座は筋肉がやせて軟骨が柔軟性を失ってくると太ももにある骨とふくらはぎにある骨に挟まれ血行障害を起こしやすくなります。正座するとしびれるのと同じ原理です。変形性関節症による腫れがおきている状態で正座をすると症状を悪化させます。椅子を利用する、洋式トイレを使用するなど膝に負担をかけない姿勢を選ぶ工夫を心がけて下さい。

(3)肥満の減量をする。
BMI25以上が肥満と判定されます。体重があることは重い荷物をもっているときと同じで、重さが膝にかかり負担をかけることになります。長時間の立位や重い荷物をもつことは膝関節に負担をかけ続けることになるので体重を改善する努力が必要になります。

(4)膝をクーラーなどで冷やさず、温めて血行を良くする。
冷えると痛みを感じやすいといわれます。冷えは血行障害や筋肉のこわばりを悪化させるので冷えを我慢せず、ひざ掛けを利用するなど膝関節の血行を良くしてあげましょう。薄いハンカチ1枚を掛けても冷えの感じ方は違ってきます。

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