線維芽細胞(せんいがさいぼう)とは、コラーゲンやヒアルロン酸などを多く含んでいる肌の真皮成分を作り出す細胞の1つです。 コラーゲンといえば美肌!というくらい有名ですよね。
そんなコラーゲンを生む線維芽細胞とはいったいどういったものなのでしょうか。 ここで、美肌に欠かせない真皮成分を作り出す線維芽細胞についてみていきましょう。
肌細胞の基礎知識
肌を目指している人はまず、肌細胞の構成について知る必要があるでしょう。
肌は
・表皮
・真皮
・皮下組織
という、3つの層で構成されています。
「表皮」とはもちろんこの中で一番上層にあって、肌を保護する役割を持っています。表皮の中にもいくつかの層があります。
一番下の基底層では新しい表皮細胞が作られています。 これが一番上の角質層へ徐々に上って、垢になって剥がれていく過程のことを、肌の「ターンオーバー(新陳代謝)」と言います。 これが美肌のキーとなる体の機能です。
表皮になんらかのダメージがあっても、ターンオーバーが約1ヶ月ぐらいの周期でできていれば、肌を回復することができます。
「真皮」は表皮の下層にあり、膠原線維の「コラーゲン」と弾性線維の「エラスチン」からできていて、肌のハリ・弾力を保つ機能があります。そのため、加齢などによって真皮が衰えると、肌にシワ・タルミが生まれます。
「皮下組織」とはその真皮の下にある層で、脂肪を多く含み、肌のクッションの役割を持っています。 主にゆるい結合組織と脂肪細胞からできていて、真皮の血管より大きな血管・神経が行き交っています。
線維芽細胞のマザー細胞 真皮幹細胞について
私たちの体には、美肌に欠かせないコラーゲンを作り出す「線維芽細胞」がありますが、その機能は加齢と共に低下します。 線維芽細胞の働きが低下すると、肌にコラーゲンが少なくなり、これが肌のハリ衰える原因になります。
この肌のメカニズムを探ると、線維芽細胞の母であるマザー細胞、「真皮幹細胞」にたどり着きます。 つまり、「真皮幹細胞」に働きかければ線維芽細胞が元気になり、良質のコラーゲンをつくり続けられる=美肌を目指せるというわけですね!
では、その「真皮幹細胞」はどこにあるのかというと、肌の真皮に存在しています。 「真皮幹細胞」が分裂→分化することで線維芽細胞が生まれ、これが真皮の構成成分であるコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンを生成してくれるのです。
真皮幹細胞とはなにか
このように、コラーゲンなどでできている線維芽細胞を生み出すマザー細胞である真皮幹細胞は、美肌にとって重要な細胞です。 真皮幹細胞とは「真皮の幹細胞」という意味ですが、では幹細胞とはなんでしょうか。
幹細胞は、分裂してコピーを作る自己複製能と、自分と違ういろいろな細胞を作る分化能を持つ細胞のことです。 もともと、体の健康の維持、肌のダメージの修復は、幹細胞の働きが受け持っています。
医療分野でも最近、病気・けがでダメージを受けた臓器・組織を幹細胞よって修復するという「再生医療」が盛んになっています。
ちなみに、表皮にも幹細胞が存在していますが、表皮幹細胞は分化しても表皮角化細胞と表皮幹細胞になるだけで、線維芽細胞は作られません。
幹細胞のタンパク質「p75NTR」から皮膚にある幹細胞を調べると、この幹細胞も歳とともに減少することがわかりました。 幹細胞が減少すると肌のターンオーバー能力が低くなって、肌の老化・乾燥・シワ・たるみが現れてくるとされています。
トリペプチドコラーゲンと線維芽細胞について
コラーゲンは皮膚の真皮層にたくさんあるたんぱく質のひとつで、肌のハリを保つ役割がありますが、これも加齢することで減少していき、シワなどの原因になります。
これまで見てきたように、美肌はターンオーバーやコラーゲンなどの成分によって維持されるわけですが、どうしても加齢によってこれらが低下・減少してしまうことが問題ですね。
肌の状態にいくら気をつけても、加齢のメカニズムはどうしようもありません。
そこで、最近はサプリメントなどの食品によってコラーゲンを摂取することで、美肌を目指すという方法が注目されています。
テレビ番組でも、コラーゲンを含んだ食べ物をレポーターが食べて「これで美肌になりますかね」などということをよく言いますよね。
しかし、実際にはコラーゲンを食べることで摂取しても効果がないという話を聞いたことがないでしょうか?
これは、コラーゲンは「分子量が大きくて体内に消化吸収されにくい」という面があるからです。
従来はアミノ酸が約100個程連なった「コラーゲンの分解物(コラーゲンペプチド)」が主な原料になっていましたが、最近では「トリペプチドコラーゲン」というものが コラーゲン配合の化粧品やサプリメントに採用されるようになりました。
これは、「グリシン」「プロリン」「ヒドロキシプロリン」という、3つのアミノ酸が並んだコラーゲンの最小ユニットです。
コラーゲンの分子は3重らせん構造で、1分子のアミノ酸は約3000個、その一部である通常のコラーゲンペプチドの1分子のアミノ酸は約30個~100個ですが、 トリペプチドコラーゲンの1分子のアミノ酸は3個です。
これまでのコラーゲンペプチドは分子量が多く、体内に吸収されにくいのですが、 トリペプチドコラーゲンでは分子量が3個のため吸収しやすくなる、というわけですね。
このトリペプチドコラーゲンで、実際に美肌効果が高まることも研究によって証明されました。
健康的な女性約40人を3つのグループに分けて、それぞれのグループにトリペプチド型コラーゲンを2.6g、従来型コラーゲンを2.6g、偽サプリメントを10週間にわたり摂取してもらいました。
その後、摂取する前と実験後の真皮層にあるコラーゲンの量を調べると、トリペプチド型のグループのコラーゲン増加量は、従来型を摂取したグループの2倍にもなったそうです。
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