ヘマトコッカス藻という、直径がわずか数十ミクロンの
藻があります。
珍しい藻の一種というわけではないのですが、劣悪な環境下によって
不思議な物質を作る性質を備えています。
その成分はアスタキサンチンと呼ばれています。
アスタキサンチンは、カロチノイド系の赤い色素で、サケやイクラ、
エビやカニの赤色の正体です。
太古から存在するヘマトコッカス藻は、ある自然条件下で、例えば
紫外線が強い雪山で、あるいは岩棚の雨水のたまり場のような
厳しい条件に曝(さら)されると、アスタキサンチンを生成して
赤色に変わります。
その後赤いヘマトコッカス藻は、雪解けや雨によって海に流れ込みます。
様々な種類の生き物が、アスタキサンチンを体内に取り込むために、
赤いヘマトコッカス藻を食べます。
例えば、サケの身の色は元々赤い色ではなく、
白身の魚がアスタキサンチンを溜め込んだ状態で赤く見えます。
アスタキサンチンは、川を遡上するときの大切なエネルギー源となります。
アスタキサンチンの赤い色はイクラにも引き継がれ、
卵を紫外線から守るために利用されています。
多くの生物が利用しているヘマトコッカス藻に含まれるアスタキサンチンには、
活性酸素による身体の酸化障害を抑える抗酸化作用があリます。
糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病、老化防止にも効果があると、
多くの研究で実証されています。
その抗酸化作用は、ビタミンEの約100倍、
人参などに含まれるべ一タカロテンの約10倍といわれています。
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