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睡眠時間に関する研究や専門家の見解を掘り下げよう
前提:睡眠は睡眠の時間以外の要因も大切
今回は「睡眠時間」をテーマに掘り下げたいと思います。快眠に関しては、「最高の睡眠・快眠を手に入れる方法」という力作記事を公開していますので、ぜひ、そちらもご覧頂ければと思います。
『睡眠と覚醒 最強の習慣』著者三島教授の睡眠時間
6時間~9時間:個人差が3時間以上ある
秋田大学医学部教授であり、日本睡眠学会の理事を兼務する三島教授が自身の書籍や記事で述べている見解をピックアップしていきます。
6時間で十分な人もいれば、9時間以上眠らないと日中に眠くなってしまうという人もいます。同年代であっても個人差が3時間以上あることが分かっています。
参照:三島和夫(2018)『かつてないほど頭が冴える! 睡眠と覚醒 最強の習慣』p.55,青春出版社
体質や体力、また、これまでの生活習慣の違いもあるでしょう。睡眠とは単純なものでないことが伺えますね。
1日8時間というのは、働き盛りの30代や40代でも長すぎる
1日8時間というのは、働き盛りの30代や40代でも長すぎるくらいで、70代以降は正味6時間くらいしか眠れないということがはっきりしています。
三島和夫(2018)「日本が「睡眠不足大国」に転落した3つの事情」東洋経済オンライン
脳神経科学者の枝川義邦教授の睡眠時間
大多数の人は6.5時間から7.5時間の範囲内に収まる
脳神経科学者で早稲田大学研究戦略センター教授の枝川義邦氏は、
最適な睡眠時間には個人差があるものの、大多数の人は6.5時間から7.5時間の範囲内に収まる
Top Communication(2018)「“すぐ眠りに落ちる人”は睡眠負債の危険性」プレジデントオンライン
としています。睡眠負債に陥っている場合は「起きた時のスッキリ感のなさ」「午前中に眠くなる」「夜に布団に入るやいなやすぐ眠りに落ちる」という3つのポイントを挙げています。本来は起床して3時間から4時間後は、脳の働きが最も活発な時間帯で、起きてから午前中の間に眠くなってしまうのは、過去の睡眠負債で脳がダメージを受けている証とも取れます。
また、睡眠負債が積み上がっている人の方が布団に入った直後に眠る傾向にあり、睡眠負債がない状態では、15分ほどまどろんでから深い眠りに入っていくことも指摘しています。
NHKスペシャル取材班における睡眠負債大調査
睡眠リスクが高くない人は6時間50分程度に収まる
NHKスペシャル取材班が20代~70代の健康に自信のある47人の男女に対して行った睡眠負債大調査では、以下のような結果が分かっています。
・睡眠負債リスクが高くない人は6時間50分
睡眠負債のリスクの違いは、1時間10分の違いです。たった1時間10分の睡眠の差で睡眠負債のリスクに大きな違いが出る、これは胸に留めておきたい事実ですね。
日本睡眠改善協議会理事長の白川修一郎医学博士の睡眠時間
基本的に7時間前後
NHKスペシャル『睡眠負債が危ない』の番組内で日本睡眠改善協議会理事長の白川修一郎医学博士は、
基本的に7時間前後なんですよ。これが一番健康被害がない、あるいは死亡率が下がる時間なんです。7時間から8時間です
と答えています。
欧州心臓病学会誌の研究結果
夜に6~8時間の睡眠が健康リスクが最も低い
欧州心臓病学会誌(European Heart Journal)に先ごろ発表された新たな研究結果
中国・北京協和医院とカナダ・マックマスター大学など各国の研究者らが大規模コホート研究「前向き都市地方疫学研究(Prospective Urban Rural Epidemiology)」の参加者である21カ国の成人11万6000人以上に関するデータを分析したところ、以下のようなことが分かりました。
・リスクが最も低いのは、夜6~8時間眠っている人
・睡眠時間が8~9時間になると、リスクは5%上昇
・9~10時間の睡眠を取っている人はリスクが17%
・10時間以上眠っている人はリスクが40%
膨大な人数の結果を参考にするならば、夜6~8時間の間で、自分の適切な睡眠を導き出すことが、ベストな睡眠時間にたどり着くことになりますね。
アメリカのペンシルベニア大学病院の実験
6時間睡眠を続けると無意識のうちに疲れが溜まる
2003年にアメリカのペンシルベニア大学病院で21歳~38歳の男女48忍へ行われた睡眠時間とパフォーマンスへの集中力・注意力の関係を調査する実験が行われました。
・1日6時間睡眠を14日間
・1日8時間睡眠を14日間
・2晩徹夜(3日間睡眠0)
のグループに分けて、実験は行われました。その結果、どのグループも指示された作業のパフォーマンスが日数が経つほど悪くなりました。ただし、8時間睡眠だった9人については、14日間で失敗回数はわずかに増えたのみでした。
一方で、6時間睡眠のグループは最初の2日はほとんど変化しませんでしたが、その後、徐々に低下し、2週間後には2晩徹夜したグループとほぼ同じレベルに悪化しました。
そして、注目すべきが、2晩徹夜したグループと違って、6時間睡眠のグループは、「自分たちの失敗が増えても、眠気をあまり感じずに自分の注意力の低下にほとんど気づかなかった」という事実です。6時間睡眠を続けると、自分が認識できないレベルで疲れが溜まっている可能性があることが伺えます。
ベストな睡眠時間を見つける方法
毎日の睡眠時間を30分ずつ増やし、昼間の眠気をチェックする
前述したの白川修一郎医学博士は、NHKスペシャル取材班の著書「睡眠障害」(朝日出版)の中で、9時間寝ても日中に眠くなる場合は睡眠障害の可能性もあると指摘しています。
また、ベストな睡眠時間を見つける方法として、毎日の睡眠時間を30分ずつ増やして、昼間の眠気が来なくなる時間を見つけることを提案しています。
睡眠時間をきちんと確保し、健康な人生を送ろう
睡眠の負債は早期に回収していこう
さて、今回、睡眠時間について様々な見解をお届けしました。こうした調査には「逆の視点」を持つことも大事です。というのは、「睡眠時間が●●だから、■■になるリスクが上がる」という場合、そもそも、強いストレス下に置かれたり、栄養バランスが悪かったり、暴飲していたりといった要素があるからこそ、睡眠時間が削られてしまい、■■になるリスクが上がるという可能性も考えられるからです。
いずれにしても、睡眠を良質に長く保とうとすると、他の節制も行う必要が出てきますので、総合的に健康は向上すると考えられます。ぜひ、、「最高の睡眠・快眠を手に入れる方法」という記事も一緒にご覧になって頂き、自分自身の適切な睡眠スタイルを築き上げていって下さい。
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