ジグリングとは何だろう、どんな効果があるか。

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1.貧乏ゆすり

2.ジグリングとは何か。

3.貧乏ゆすりとからだ

・随意運動と不随運動

・手術後のリハビリ

・ジグリングの効果

4.運動(ジグリング)効果を上げるポイント、方法

・運動の効果と運動の目的

・ジグリングのやり方とポイント

・貧乏ゆすり様運動の回数や期間

5.結論

1.貧乏ゆすり

貧乏ゆすりは病気としておきる「常同運動」や「チック」「ロッキング」などの揺れとは違い、ここ一番という場面で意識すれば止めることができます。逆にここ一番といった場面で出てしまい悩む人もいます。日本の風習や躾では「貧乏ゆすり」をあまり好ましく思わない傾向があります。「貧乏ゆすり」の語源は、「貧乏」のことばが付いているとおり、着るものもないほどの貧しい人が寒さをこらえ、からだが震えている様からきているとの説があります。果たして「貧乏ゆすり」はからだにどのような効果があるのでしょうか。

2.ジグリングとは何か。

ジグリングとは「貧乏ゆすり」の動作にとてもよく似た運動のことです。ジグリング(jiggling)は1970年代にカナダのSalterらが持続的他動運動としてCPM(Continuous Passive Motionの概念を提唱し、このCPMの概念を基にして1980年代に考案された運動が「貧乏ゆすり様運動」です。

ジグリング(jiggling)は貧乏ゆすりに似た動きですが主に股関節と膝関節の運動として用いられます。お手軽な運動ですが股関節周囲の動きをよくすることができるとの症例報告があり注目されるようになりました。股関節の病気の治療として用いられ始め、手術の適応にならない悪化した症例に取り入れられてきました。2018年(齋藤吉由氏)に変形性膝関節症に適応できる「膝ジグリング(ホルミシスエクササイズ)」も紹介され、ジグリングは手術後やロコモ予防としても注目されるようになりました。

参考:「変形性股関節症患者に対する免荷を伴うジグリング治療の報告、短期入院治療の検討」九州理学療法士・作業療法士合同学会 2018 佐藤 貴宣(PT)他、柳川リハビリテーション病院

3.貧乏ゆすりとからだ

・随意運動と不随運動

人の動きは脳と神経系と運動器(骨、関節、筋肉)がうまく関わり合った結果によるものです。運動は意識して動く「随意(随意(ずいい)運動」と意識をしないのに動く「不随(ふずい)運動」とに分かれます。「障害物があるからよけて通れた」は意識して行った行動であるから「随意(随意(ずいい)運動」になります。心臓の動きは意識しなくてもきちんと動き止めることができない「不随(ふずい)運動」になります。

貧乏ゆすりは意識していない「不随運動」にみえますが、多くは「随意運動」に含まれます。不思議に思えるかもしれませんが貧乏ゆすりの多くは心理的な作用が加わる「癖」と考えられ、注意されれば止める努力が可能な動きであることから、貧乏ゆすりは「随意運動」の仲間に分類されます。

・手術後のリハビリ

変形性関節症は、クッションの役割をしている軟骨がすり減り痛みや関節の動きが悪くなる病気です。悪化した関節は手術療法を選択します。悪化しても手術を望まない人や内臓疾患などがあり手術の危険性(リスク)が高いと判断された場合は手術の適応外となります。変形性関節症などで日常生活動作ができない期間が続くなると徐々に動ける範囲は狭くなり、ベッド上での生活を強いられることになります。貧乏ゆすり様動作(ジグリング)は変形性関節症の初期症状から術後あるいは悪化した関節に用いることができる負担の少ない運動として注目されています。

治療に用いられる運動は、自分で行う「自動運動」と理学療法士や家族が行える「他動運動」があり、手術後はからだの負担を考えて「他動運動」から始めます。手術後1~3日目から始めるリハビリは手術による急性炎症期の状態にあるため痛みや腫れがひどく、出血する危険などもあることから理学療法士が行っています。筋肉のリラクゼーションを目的に関節の動きや筋肉の拘縮(固まる)を防ぐことが目的です。

その後、からだの修復が進むと膝関節の痛みや腫れの状態を見ながら無理のない範囲で関節の動く範囲の拡大を目指し、軽いリハビリをとりいれていきます。手術後3週間ごろには手術した皮膚のようすや関節の修復状態に合わせ、関節の拘縮を修正する目的の関節可動域訓練や筋力増強訓練を段階的に強めていくようにします。

術後3週目以降は退院に向けてのリハビリになります。軟部組織の修復がすすむとは逆に軟部組織の癒着がはじまるため、関節の拘縮(固まる)に注意が必要な時期です。手術した関節の痛みや腫れに応じて退院後の生活も意識した運動になり「段差を超える」「階段の昇り降り」などの訓練や日常生活に関連した動作の訓練をおこないます。退院後は週1~2週間に1度の通院をしながらリハビリを続けていき、個人差はありますが約3か月ごろからウォーキングを楽しめるようになってきます。

3.ジグリングの効果
ジグリングは自分で行う「自動運動」です。ジグリングの効果は術後の早期から開始できる点と手術できない症例の保存療法(理学療法)として利用ができる点です。

負担の少ないジグリングは「運動は頑張って訓練するもの」というイメージを変えることができます。医療技術の進歩から手術への不安も少なくなり早く楽になって動きたいとの気持ちから安易に人工関節の手術を選択する傾向が指摘されています。手術には10~20年後に人工関節の緩みによる再手術をする場合があり、特に若い人ほど再手術の割合が高くでてきます。そのため運動のイメージを変えられて簡単に日常に取り入れやすい運動を提案する必要があります。負担の少ないジグリングは自分の関節で生活できるという選択肢を増やすことが期待できる運動になっています。

参考:1、「形性股関節症に対する関節温存手術後の関節症に対するジグリングの効用」柳川リハビリテーション病院、広松 聖夫、木下 斎、 井上 明生

2、「変形性股関節治療ガイドライン」日本整形外科学会、日本股関節学会、第6章

https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/osteoarthritis-of-the-hip/osteoarthritis-of-the-hip.pdf

4.運動(ジグリング)効果を上げるポイント、方法

・運動の効果と運動の目的

関節の障害が起きると日常の生活に影響がでてきます。歩く、座るといった大きな動作だけではなく靴下をはく、洋服を着る、ズボンを引き上げるなど自立した行動をするのに困ることが多くなります。これらの動作を「日常生活動作・ADL(Activities of Daily Living)」といいます。困っている日常動作の改善や能力の維持が運動をする目的です。できるだけ簡単にできるジグリングの方法をご紹介します。

・ジグリングのやり方とポイント

※姿勢のポイントは、腰と膝は直角に曲げて椅子に浅めに座ること。

1)ジグリングをする姿勢は椅子に浅めに腰掛けて行います。

2)足の指先を床につけ、踵を浮かせて上下させます。

3)片脚ずつ(両脚でも可)細かく揺すります。

・貧乏ゆすり様運動の回数や期間

毎日30分以上行います。2時間できれば効果は上がります。
ゆする速さは、できるだけ早く上下させる方が効果的です。

4結論

貧乏ゆすりのような足首を上下させ、ふくらはぎの筋肉を動かす動作は、エコノミー症候群の予防になり足首を回す動作と共に勧められています。足首を動かす運動は冷え症にも良く、運動をすると体温が上がることも知られています。むずむず症候群にも貧血の改善と下肢の運動が有効とされています。ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれています。貧乏ゆすり様動作(ジグリング)もふくらはぎにある筋肉を使い、血液循環や筋肉、関節に効果があると考えられています。整形外科領域で推奨されている動作でもあり病院の待ち時間やテレビを見ているときなど時間を有効に使うことができ、日常に取り入れやすい貧乏ゆすり様動作(ジグリング)を続けてみると良いでしょう。

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