熊本県の特産品として有名な辛子レンコンは、
熊本のゆるキャラである「くまモン」に負けず劣らずの
全国区の人気おみやげです。
この辛子レンコンのレシピ誕生は、
歴史が古く、数百年前まで遡ります。
細川藩の初代藩主であった細川忠利が病弱のため食が細く、
それを見かねた耶馬溪羅漢寺の和尚が、
漢方の食材として増血効能があるレンコンを食べさせようと、
和辛子味噌を穴に詰め、油できつね色に揚げたレンコンを
藩主の食膳に出したところ、好んで食べたと伝えられています。
レンコンの切り口が細川家の家紋である九曜(くよう)紋にも似ていたため、
忠利公は辛子レンコンを門外不出の料理とし、
調理法を秘伝としました。
明治維新後にその製法が解禁になると、
レンコンがこの地方でよく穫れるということも相まって、
辛子レンコンは、熊本の名産品となりました。
レンコンとは、蓮(はす)の根=蓮根と書きますが、
実際は、蓮の地下茎が肥大したものです。
輪切りにした時に丸い空洞が並んで、向こうが良く見えるため、
「先の見通しが良い」という縁起を担ぐ
おせち料理に欠かせない食材です。
今では一年中流通しているレンコンですが、
秋口に収穫される新レンコンは、
繊維が柔らかく、あっさりとしてサラダなどの生食に合います。
また、晩秋から冬に穫れるものは粘りが出て、甘味も増すため、
煮物料理や揚げ物などの加熱調理で美味しく食べられます。
レンコンの魅力は、同じ食材であっても調理法によって
歯ざわりの良さと、ネットリした粘りという違った食感を
楽しめるところです。
シャキシャキとした歯ざわりを楽しむには、
冷水につけてアクを抜き、酢水に浸します。
これでレンコンが持っている粘り成分のムチンを抑えることができます。
断面の穴の色が黒ずんでいる場合は、
酢を少し多めに入れた水の中に30分くらい浸しておくと
真っ白になります。
冷水だけの場合でも、概ね黒色止めは出来ます。
お酢が入っていない分、もちもちした食感が残るので、
煮物料理などの場合に向いています。
レンコンの粘り成分であるムチンは、粘膜を潤し、胃壁を保護します。
たんぱく質分解酵素も含むので、たんぱく質を無駄なく吸収できます。
また、ビタミンCも豊富ですから、疲労回復、かぜの予防に効果があります。
黒くなる原因であるレンコンのアクには、ポリフェノール類が含まれています。
ポリフェノールには、消炎止血作用があるので、
胃潰瘍や十二指腸潰の下血や喀血を止める効果があります。
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