秋の空が透明な青になる理由とは?

「天高く馬肥ゆる秋」

天高くとは、
秋の空の透明度があがるという表現のひとつでしょう。

空の透明度が、夏から秋にかけて増すのは、
空気中に含まれる水蒸気の量が関係しています。

夏の青空は、太平洋に中心を持つ
南からやって来る高気圧です。

海の上で生まれた高気圧ですから、
たっぷりと水分を含んだ状態で日本にやってくるため、
太陽光線が、水蒸気で乱反射し、
日本特有の蒸し暑い夏の晴れということになります。

一方、秋の高気圧は、
大陸から移動してくるため、
空気中に含まれる水蒸気の量は少なくなります。

秋の空が夏の空よりも青く、高く見えるのは、
このような高気圧の出身地に違いがあるためです。

ところで、春の青空も
同じく大陸生まれの高気圧によるものですが、
少し事情が違います。

春の空の表現といえば、春霞(はるがすみ)です。

これは、高気圧が生まれる場所の環境が違うためです。

春先は、雪や氷が溶けたばかりで、その中に含まれる土や砂が
舞い上がりやすくなっています。

それに対して秋は、夏に育った草がホコリの舞い上がりを抑制するため、
秋に発生する高気圧には、
透明度を下げる邪魔者が少なくなります。

また、上昇気流の強さが変化することも秋の空を青くする理由の一つです。

秋になると、太陽の南中高度(※1)が低くなるため、
日中の最高気温が下がります。

太陽で暖められた空気の対流が弱まり、
地表からホコリが舞い上がる空気の層が、
空の低いところに留まる傾向にあります。

雲の様子も変わります。

上昇気流が弱くなるため、
入道雲(積乱雲)のような水分を多量に含む夏らしい雲の出番が少なくなります。

空の天井付近である上空5~13キロ付近に現れる
鳥の羽根のような「巻雲(けんうん)」や、
細かい雲片が空一面に広がる「うろこ雲」などが、フワリフワリと浮かびます。

※1 南中高度
一日の中で、太陽がいちばん高く上がったときの
地平線との間の角度です。
夏至のときの南中高度がいちばん高く、
冬至の南中高度がいちばん低くなります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。