三寒四温は冬の季語

日差しの明るさに、
春は確かに近づいていると感じられますが、
この季節、とにかく天気の変化が激しいですね。

昨日は、20℃近くまで気温が上がったのに、
今日は、10℃にも届かなかった、
そんなことも、珍しくはありません。

この時期に、よく耳にするのが
『三寒四温』という言葉です。

一週間のうち三日寒い日が続くと、
その後、四日は比較的温かい日が続くという意味で、
そのような日々を繰り返しながら
本格的な春を迎えるのだととらえている人も
多いのではないでしょうか。

実は、この言葉、
季節の変わり目で変化しやすいこの時期の気候を表すものではなく、
だんだん暖かくなるという意味もありません。

シベリア高気圧からの寒気の強弱により、
中国北部や朝鮮本島などに
顕著に表れる現象を指す言葉で、
日本では年に1回あるかないか、
しかも1~2月ごろに表れる気候のことなのです。

そのため、俳句の世界では、
『三寒四温』は春の季語ではなく、
冬の季語とされています。

春先の寒暖の変化に関係するのは、
この時期、活動が最も盛んになる
日本付近の温帯低気圧です。

この低気圧には、
日本海低気圧と南岸低気圧があります。

日本海低気圧は、
日本海を北東に進みながら発達するもので、
この低気圧が急速に発達すると、
風が急に強まり、「春一番」となります。

一方、南岸低気圧とは、
日本列島の南岸を沿うようにして北東に進むもので、
立春以降に主に関東地方で季節外れの雪を降らせるのも、
この低気圧の影響です。

今の時期は、
この二つの低気圧のせめぎあいによって
不安定な天候がもたらされます。

さらに,日本海側と太平洋側で発達した2つの低気圧が、
列島を挟んで北東方向に進む『二つ玉低気圧』
と呼ばれるものがあります。

この低気圧は広範囲に荒天をもたらし、
山や海で多くの遭難事故を起こすこともあります。

これらの低気圧がいつ生じ、
どのように発達するかは、
決して日本列島の周辺だけで決まるのではありません。

見上げる空は一つで、世界はつながっています。

気象状況に関しても、
地球規模でとらえていかなければならないことがらなのです。

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