日本発祥の実験器具

日本人が世界の発展にどの程度貢献したかという物差しの一つが
ノーベル賞の受賞者の数ではないでしょうか。

2015年9月現在で、22人が栄えあるノーベル賞を受けています。

その中でも自然科学系の受賞者は19名と圧倒的に多く、
物理学賞10名、科学賞7名、医学生理学賞2名となっています。

しかしノーベル賞の受賞者とはならなかったものの、
ペスト菌を発見した北里柴三郎、
黄熱病の解明に人生を捧げた野口英世をはじめ、
世界の発展のために貢献した科学者も少なくありません。

実験器具の分野でも、安全でユニークな器具が世界で使われています。

1920年代(大正時代)に東京都立駒込病院の院長であった
二木謙三が開発した実験器具は、
今でも世界中で使われています。

駒込ピペットというスポイトの一種です。

ほとんどの人が学生時代にこの名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。

1~20mlほどの液体を、ガラスの細管に吸い上げて
他の容器へはかり取る器具です。

スポイトの少し大きめの器具という位置づけの
駒込ピペットは、ガラス管の上3分の1ほどのところに、
誤使用を防ぐために設けられた吸引調整用の膨らみがあります。

現在の駒込ピペットは、吸い込み口に当たる部分に
ゴム製の乳頭がついていますが、
もともとピペットは液体を口で吸い上げる器具だったため、
伝染病患者などから採取した検体を吸うには、危険を伴いました。

そこで、ガラス管の途中に
安全球と呼ばれるガラス管の膨らみを付ることで、
誤飲を防ぐことができるように改良したのです。

駒込ピペットは、その後世界中で使用されるようになり、
英語でも日本語そのままの名称である「Komagome Pipette」と呼ばれています。

安全を考慮した実験器具として、教育現場でも広く使われています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。