研究から分かる抹茶の効果

抹茶と言えば、最近ではスイーツでよく使われるなど、飲む以外の場面でも大活躍ですよね。抹茶は食文化として世界的にも注目され、研究が数多くなされています。そこで、今回は、抹茶に関する研究結果や専門家の指摘を取り上げ、抹茶への理解を一緒に深めていきたいと思います。

抹茶とアンチエイジングに関する研究

抹茶に含まれる豊富な成分と言えば、カフェイン、ポリフェノール(カテキン)、アミノ酸(テアニン)の3つがあり、この3つがあるおかげで、様々な生理機能が発現すると言われています。お茶の第一人者である大妻女子大学の大森正司名誉教授は、自身が学長を務めるお茶大学の日本”MATCHA”サミットで、抹茶がもたらすアンチエイジング効果を指摘しています。

「カテキンの抗酸化性はアンチエイジングとの略同義語としても使用可能な性質で、抗酸化物質は細胞のがん化抑制効果、動脈硬化抑制作用、血圧上昇抑制作用、脳卒中予防作用、肥満抑制作用、老化認知症予防効果等、酸化ストレスに効果を示す物質です。特に韓国では、1年間の抹茶飲用量が50g/人であるというデータも一部出ており、抹茶をシンプルにそのまま愉しむ楽しむという人が非常に少ないことが分かっています。」
お茶大学(2018)「抹茶はアンチエイジングや脳卒中予防などありとあらゆる健康効果あり。そんな世界でも注目されている“MATCHA”市場を日本が主導するには?『日本“MATCHA”サミット』開催」PT TIMES

カテキンは抗酸化性と吸着性に優れた物質です。大森正司名誉教授はカテキンが風邪のウイルス感染症に効果があったり、口臭の予防になったりすることも述べています。お茶を飲む習慣が、抗酸化性の高いライフスタイルを作ることに繋がります。

抹茶とがん予防の研究(1)

予防医療を専門とする医師のエルケ・クークさんは、抹茶には抗ガン成分であるEGCGが多く含まれ、抹茶の茶葉全体を摂ることができるため、とても良いことだと指摘しています。エルケ・クークさんカリフォルニア州サクラメントでナチュラルホルモンを補充する治療専門医のネットワーク「BodyLogicMD」に所属しています。

「抹茶には、緑茶の抗がん成分であるEGCGがさらに多く含まれています」と、クークさん。EGCG(没食子酸(もっしょくしさん)エピガロカテキン)は緑茶にいちばんたくさん含まれるカテキンで、抗がん効果があると証明済み。

さらに、緑茶は茶葉の成分をお湯で抽出するだけですが、抹茶なら茶葉全体をとることに。「抹茶は茶葉の粉末を溶かして飲みますから、EGCGの濃度がはるかに高くなります」(クークさん)」
MYLOHAS編集部 (2018)「肺がんにならないために、今日からできること10」MYLOHAS

確かに抹茶は茶葉全体を摂るに等しいので、この摂取の観点は、他の健康に関しても適用できそうですよね。自然由来の摂取、ありのままの摂取が実現できるのが、抹茶の強みだとも言えます。

抹茶とがん予防の研究(2)

先ほど、カテキンの抗酸化性についてお伝えしましたが、イギリスでは、健康面で抹茶が注目されています。サルフォード大学では、抹茶とがんの研究を行い、研究者は、将来的に抹茶を食事の補助剤とする方向を示しています。

がん幹細胞は分裂と自己更新を続けることで、すべてのがん細胞に転化できる。英サルフォード大学の研究者は実験により、抹茶抽出物が乳がん幹細胞のミトコンドリア(細胞のエネルギー補給所)の新陳代謝を抑制し、細胞のエネルギー補給を阻止することを発見した。またがん細胞のリボソームを減らし、タンパク質を合成しにくくすることで、がん細胞の活性度を落とし徐々に死に至らしめる。

研究の責任者、サルフォード大学のマイケル・リサンティ教授は、「抹茶がヒトの乳がん細胞に与える影響は非常に顕著で、その活性成分が一部のがん細胞拡散の信号ルートを遮断する効果は、外科手術に似ている」と指摘している。研究者は、将来的に抹茶を食事の補助剤とし、がん予防の大きな潜在力を発揮したいとしている。
(2018)「抹茶はがん予防に効果的」人民網日本語版

yamadafarmの春摘青汁は、静岡産抹茶を加えていますが、抹茶関して様々な研究次第では、より配合を多くするなど、方向性も変わってきそうです。

抹茶とストレス緩和の研究

抹茶に関する大きな可能性を見出し続けているのが、お茶のメーカー、伊藤園です。伊藤園は、寿命100年時代にお茶が多くの人の幸福実現に繋がるように、「抹茶と認知症予防」に対して2億円を投じることがニュースとなりました。

「これまでも、抹茶に含まれる成分であるテアニンは、ストレス緩和や睡眠改善に効果があると報告され、また、カテキンは抗酸化作用を有し、認知機能の低下抑制に効果があるとの報告がされている。」
(2018)「抹茶で認知症予防 2億円投じ共同研究へ/伊藤園・島津製作所・MCBI」食品産業新聞社ニュースWEB

テアニンが睡眠の質を高めることから、「テア眠」といった睡眠サプリも誕生しています。テアニンの睡眠改善効果の科学的根拠や安全性は消費者庁にも届けられています。

抹茶と認知機能の研究

先ほど、伊藤園が認知症予防と抹茶の研究に2億円を投じることをお伝えしましたが、既に伊藤園は抹茶が認知機能の一部を改善する研究を示しています。

臨床試験ではコグニトラックスという認知機能検査ツールを用いました。試験の結果、抹茶含有カプセル(抹茶量計2g)を12週間継続摂取することにより、課題遂行時間の短縮や正答数の上昇など、実行機能の向上が認められました。

試験食品の抹茶量(1日2g)は、茶道における薄茶点前の1杯分の量に相当し、無理なく摂取していただける量であるため、健康維持にお役立ていただけるものと期待しています。
(2018)「抹茶の継続摂取で健常中高年者の実行機能が改善することを確認」伊藤園

「無理なく摂取できる量」というのがポイントですよね。しかも、摂取したものが吸収されているかどうかも大切です。無理なく摂取ができ、かつ、摂取したものがきちんと吸収され、行き届くものなのか、この観点でいろんな情報に触れて、自分なりの健康スタイルを築くことが大切です。

抹茶は身近なスーパーフード

お茶の成分に関して、管理栄養士でナチュラル料理研究家の谷口あゆこさんの記事での指摘がキャッチーだったので、ご紹介させて頂きます。

「一般的によく飲まれる緑茶類(玉露、煎茶、番茶、ほうじ茶、玄米茶)の中でも、抹茶はカリウム、カルシウム、鉄分、マグネシウム、リン、亜鉛、ビタミンB1、B6、Cが特に豊富です」と管理栄養士でナチュラル料理研究家の谷口あゆこさん。
GreenCreate (2018)「カテキンだけじゃない 身近なスーパーフード「抹茶」」NIKKEI STYLE

抹茶は飲みやすいだけでなく、粉末なら鍋からデザートまで多くの料理に活用できます。抹茶だけを過剰に摂取するのではなく、バランスよく多様な食生活のラインナップの一つとして、抹茶を取り入れるのも良いですよね。

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