栄養価が高く、それでいて味わいにほんのり甘味を感じさせることから、青汁の主成分として大活躍している大麦若葉。そこで、今回は、大麦若葉の研究結果や専門家の指摘をまとめました。様々な知見から大麦若葉について、一緒に理解を深めていきましょう。
大麦若葉と便秘解消の研究
第60回日本栄養改善学会学術総会にて発表されたヤクルトが東京家政学院大学との共同研究では、排便日数の少ない人が大麦若葉を摂取することで、排便の回数・便の性状に改善作用があることが分かりました。
排便日数の少ないグループ29名 | 1週間排便回数 |
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非摂取時期 | 4.47回 |
大麦若葉エキス末Aを摂取した時期 | 5.16回 |
大麦若葉エキス末Bを摂取した時期 | 5.40回 |
参照:(2014)「大麦若葉の便通改善作用 | 研究開発」ヤクルトヘルスフーズ株式会社
実験は、被験者が67名でした。大麦若葉エキス末Aは、食物繊維を配合した大麦若葉搾汁粉末で、大麦若葉エキス末Bは、 食物繊維を配合していない大麦若葉搾汁粉末になります。
やはり、食物繊維を含んだ方が、便が促進されていますね。食物繊維は水溶性と不溶性の2種類があります。
水溶性の食物繊維は果物や海藻、こんにゃくなどに多く含まれていて、便の中に溶け込み、便を軟らかくして腸内の通過をよくします。不溶性の食物繊維は、豆類、根菜類、野菜類、きのこ類などに多く含まれていて、腸のぜん動を活発にして便を押し出す効果が期待できます。
大麦若葉と脂肪抑制の研究
日本薬品開発株式会社が行った実験では、大麦若葉には脂肪の蓄積を抑制する作用があることが確認されました。
「大麦若葉抽出液の添加群では、非添加群に比較し、30-50%の脂肪滴蓄積抑制が認められた。この結果から大麦若葉抽出液の中には脂肪細胞への分化または脂肪滴蓄積を抑制する作用を持つ物質の存在が示唆された」
(2006)「大麦若葉の青汁成分の研究(第51報) 大麦若葉抽出液の脂肪前駆細胞の分化および脂肪滴蓄積抑制作用について」日本薬品開発株式会社
脂肪滴と聞くと難しく聞こえますが、脂肪細胞の大部分を占める球形の液です。脂肪滴には、生体のエネルギー源となる脂質を蓄積するという役割があるため、大麦若葉による脂肪滴の蓄積が抑制されるということは、脂質の蓄積を抑制することに繋がることが期待されます。
日本薬品開発株式会社は大麦若葉に関する研究や実験を数多く行っています。「大麦若葉エキスに抗うつ作用がある可能性」「大麦若葉エキスはストレス影響を低減」「大麦若葉エキスの酸性抽出液に抗不安、催眠等の薬剤として使用されているベンゾジアゼピンの受容体に結合する物質が含有されている」といった様々な発表を行っています。
大麦若葉と副交感神経の研究
第17回国際心理生理学会議で発表された研究では、大麦若葉は副交感神経の活動を高めることが確認される発表がありました。
大麦若葉エキスの緑のにおいを暴露したときの自律神経系の機能に及ぼす影響について調べた結果、その反応の程度やパターンは被験者ごとに変動がみられるものの、副交感神経活動が亢進されていることが確認された。
第17回 国際心理生理学会議(広島)
これは、大麦若葉に問わず、人は「自然」を想起できるものを感覚として受け取ると、副交感神経が活発になるという研究は数多くあります。青汁粉末をサクッと飲む前に、青汁粉末の匂いを嗅ぎ、自然の世界をイメージすることは、とても大事なことです。
大麦若葉と腸内細菌の研究
東洋新薬が東京大学分子細胞生物学研究所の白髭克彦教授と行った共同研究では、大麦若葉を摂取することで、腸内の善玉菌が増え、悪玉菌が減ることが分かりました。
肌荒れのある健常成人女性28名を対象に、大麦若葉末を含む食品を8週間摂取するという二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験を実施。摂取開始前と摂取8週間後の被験者の便を採取し、次世代シークエンサーを用いた16SリボソームRNA解析により腸内細菌叢の同定を行った。その結果、大麦若葉末摂取群ではプラセボ比でBifidobacterium longum(善玉菌)の増加傾向が認められ、悪玉菌とされるClostridiaceae 科とErysipelotrichi 網の有意な減少、または減少傾向が認められた。
(2018)「東洋新薬、大麦若葉末の腸内細菌叢改善作用を確認 ―東京大学との連携協定に基づく成果」食品と開発
また、この研究では、皮膚状態も計測され、大麦若葉を摂取することで、頬の角層水分量が高まることも分かりました。
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