銀の不思議な殺菌効果

ミリエル司教からもてなされたジャン・バルジャンは、
銀の食器を盗んで逃げてしまうが、
改心して人を慈しむ愛を知る。

不遇の男の一生を、ドラマチックに描いたレ・ミゼラブルは、
フランス人作家であるヴィクトル・ユーゴーが
1862年に執筆した大河小説です。

この小説にも登場する銀という素材は
人の暮らしの中で食器や装飾品に多用されてきた金属です。

ギリシャ、ローマの時代から、
銀に殺菌・抗菌作用があることは、
経験的に知られていました。

アメリカの西部開拓時代には、
銀コインを牛乳に入れて殺菌したと伝えられています。

アメリカのアリゾナ大学では、
ブドウ球菌やサルモネラ菌など多くの病原菌に対する
銀イオンの殺菌効果が証明されています。

逆説的に言うと、
今まで問題らしい問題が見つかっていないことは、
銀の安全性の証明ともいえます。

近年は、銀の殺菌効果や消臭効果を利用した
家電製品や台所用品、化粧品など多くの製品が発売されています。

このような殺菌・消臭能力は、
銀イオンの存在がポイントとなっています。

銀は、水の中にあると銀イオンを溶出します。

水中に溶けた銀イオンは、
細菌の体内に入り込み、
細菌の活動を停止させます。※1

大腸菌に対してであれば、
銀がイオン状態のとき、
5~10ppbの濃度で死滅させる効果があります。※2

銀は、チューインガムの銀箔としても使用されています。

ゴマ粒状の顆粒薬のコーティング材として、
あるいは靴下や肌着など、
私たちの身近なところで多く利用されています。

今後も銀は、宝飾品ばかりでなく、
様々な分野で応用されていくでしょう。

※1:1929年にドイツの研究者であるG・クラウスによって、
水の中の微量な銀イオンが、
安全で優れた除菌効果を持つことが証明されています。

※2:深さ2メートル、幅20メートル、長さ25メートルの水泳用プールに1gという割合です。

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