1492年にコロンブスがアメリカ大陸を発見して以来、
アメリカ開拓の歴史は、大陸を西へと横断するように進んでいきました。
いわゆるアメリカのフロンティア時代です。
多くの移民は、約束の地と夢見る西部を目指して
大移動をします。
ハリウッド映画でよくご存知のような
西部劇の舞台です。
治安の不安定な無法地帯で、
自分の家族や仲間を荒くれ者から守るために、
開拓者たちは武器を携帯します。
映画にもよく登場する幌馬車は、
荷物を携えて移動するには必要不可欠の車でした。
ジョン・ウェイン、クリント・イーストウッドなど
名優演じるカウボーイが乗る幌馬車は、
左に馬の手綱を握る御者、
その右にライフルやショットガンなど、
警護用の武器を持つ助手が座ります。
しかし西部開拓の上では必要不可欠だった幌馬車も、
時が流れ、蒸気機関車やガソリンで走る自動車が普及したことで、
移動するための車は、大きく様変わりします。
国全体の治安が良くなることで、
ショットガンを携えた助手は必要なくなります。
手綱は車のハンドルに変わりましたが、
助手席には、エンジンを手動で始動するために、
やはり人がひとり必要でした。
その後セルモーターを使うことで、
自動車の始動方法が改良されると、
運転手ひとりでも自動車は運転できるまでに進歩します。
助手席に座っていたホコリだらけ、油まみれの助手は姿を消し、
運転席の横には、愛する家族や麗しき女性が座るようになりました。
しかし開拓時代に、
御者席の隣に助手が座っていたという事実は残ります。
アメリカでは、助手席のことを
“ショットガン(Shotgun)”と呼びます。
アメリカ英語では、今でも
「助手席に座っている」という表現を
“riding shotgun”(ショットガンを携えて乗る)といいます。
ちなみに標準的な英語の表現では助手席のことは、
“a front passenger seat”=「前方の座席」です。
助手席には、笑顔が似合う素敵な同乗者が座る
平和な時代であってほしいものです。
コメントを残す