貧乏ゆすりが健康につながる？
「座っているとつい貧乏ゆすりをしてしまう」「退屈だと無意識に足が動いてしまう」という方はたくさんいらっしゃると思います。一般的にはあまり好ましくない癖や仕草として挙げられる貧乏ゆすりですが、近年では健康面に良い効果をもたらすとして注目を浴びています。無意識に行っている癖が、日々の健康増進につながれば素晴らしいことですよね。
今回は、貧乏ゆすりが私たちの体に及ぼす好影響についてご紹介します。
血流をよくして冷え性・むくみ知らず！
貧乏ゆすりをすることで期待できる効果はいくつかあります。その一つが脚の血流の改善による冷え性の緩和です。脚の中でもふくらはぎは「第2の心臓」とも呼ばれ、全身の血流のうち下肢の血液を全身に送り出すためのポンプのような役割を担っています。このポンプは、ふくらはぎの筋肉を動かしたときに働きます。冷え性にお悩みの方はたくさんいらっしゃいますが、デスクワークをされる方や座ったままの姿勢で長時間過ごす方に冷え性が多いのは、このポンプを働かせていないためだとも言われています。このことから、貧乏ゆすりで下肢の血流が改善し、冷え性が解消されます。
冷え性にお悩みの方は、むくみにもお悩みではないでしょうか。冷え性の方は血液の流れが悪くなってしまっているため、これら二つを同時に感じやすいのです。むくみは血液やリンパ液がなどの水分が体内で滞ることで、血液やリンパ管から染み出し、皮下の細胞間に水分が溜まってしまう現象です。下肢は姿勢や重力の影響で体液の滞りが起きやすい部位です。貧乏ゆすりによって血流が改善することで滞留した水分を回収し、脚のむくみを取り除く効果も期待できます。薬や漢方薬などに頼ることなく、自分の力で解消できれば理想的ですよね。
エコノミークラス症候群の予防
エコノミークラス症候群をご存知でしょうか。エコノミークラス症候群とは、同じ体勢で長時間過ごすことで下肢の血管が圧迫され、血流が滞り血液の塊が形成されてしまう疾患です。形成された血液の塊は血流に乗って肺の血管へ運ばれます。最悪の場合、肺の血管を詰まらせ肺塞栓症となり、死に至ることもあります。
あまりに恐ろしいエコノミークラス症候群ですが、貧乏ゆすりにより予防効果が期待できます。貧乏ゆすりは「第2の心臓」とも呼ばれるふくらはぎの筋肉を活用して行う運動です。この運動により下肢の血流が良くなれば、血液の塊が形成される間もなく血液をおくりだすため、エコノミークラス症候群の原因である血液の滞留を防止することが可能です。エコノミークラス症候群は、飛行機や狭い車内などで発症しやすく、そのような場所では体勢を変えることも難しいです。ですので、限られたスペースでもできる貧乏ゆすりは予防として適していると言えるでしょう。
股関節のリハビリにも採用？
貧乏ゆすりを行うことで、関節に存在する関節液と呼ばれる関節の潤滑油のような役割を果たす液体が流動しやすくなります。関節液には軟骨を健康に保ち、再生を促すといわれる成分が含まれているため、軟骨の維持や症状悪化を防ぐことができるとして、貧乏ゆすりは股関節に良い動作であるとして注目されています。このことは、国内メディアや各国の研究機関などでも取り上げられており、今後ますます貧乏ゆすりによる関節への効果は証明されていくことでしょう。
気持ちを落ち着かせる
セロトニンというホルモンをご存知でしょうか。セロトニンは気持ちを安定させたり、精神を調和することで知られています。うつ病などの精神疾患とも強い関連を持ち、人間が幸福感を感じながら生活するために必要なホルモンの一つです。
セロトニンは私たち人間の体内で合成されますが、生活習慣や食習慣の乱れにより不足してしまうことがあります。セロトニンの合成を促すには、日光をよく浴びる、トリプトファンやビタミンB6、炭水化物などの栄養を効率よく摂取するなどの方法があげられますが、貧乏ゆすりもまた、セロトニンの合成促進に一役買うと言われています。
リズミカルな運動を5～20分間ほど継続すると人間は心地よさを感じ、血中のセロトニン濃度が上昇します。また、リズミカルな運動としては、他にもウォーキングやサイクリングなどがありますが、貧乏ゆすりもその一つです。本人にとって疲労感や苦痛に感じるとストレスにつながるため、むしろ逆効果になってしまいます。好きな時間に始めて好きなタイミングで止められる貧乏ゆすりが効果的です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。貧乏ゆすりは、他人から見ると印象のあまりよくない仕草ですが、行っている本人には、これほどの健康面での効果があると言われています。最近では医師がTVや雑誌などのメディアで「健康ゆすり」と呼ぶほどです。健康ゆすりの効果をぜひ体験してみてください。
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