便秘に悩んでいる人は少なくありませんが、便秘にも種類があることはあまり知られていません。便秘にならないように生活習慣を改善するといってもその種類によって原因は違ってきます。
したがって、予防や治療のためにはまず、便秘の種類と原因を把握しなければなりません。
弛緩性便秘とは
女性や高齢者によくみられるのが弛緩性便秘です。
これは筋肉の衰えが原因で、そのことにより、腸の蠕動運動が十分行われなくなり、便を押し出す力が弱くなってしまいます。そうすると、便が長時間腸内に留まることになり、その間に便の水分は過剰に吸収され、固くなります。その結果、便がますます排出されにくくなり、慢性的な便秘になるのです。
老化による筋力の低下で弛緩性便秘になるケースもありますが、若い女性の多くは無理なダイエットで必要な腹部の筋肉までをそぎ落としてしまい、それで便秘を引き起こしてしまうケースが目立ちます。その上、食事の量を減らしているために便が十分な量にならず、よけいに出にくくなるのです。
便秘が長期に及ぶと肌荒れなどの原因となりますので、過剰なダイエットは美容にとっては逆効果ということになります。
痙れん性便秘とは
弛緩性便秘が筋力不足によるものなのに対して精神的な要因で引き起こされるのが痙れん性便秘です。
副交感神経の過度な興奮状態が続くと腸は緊張状態に陥って便をうまく運べなくなってしまいます。食後に下腹部に痛みを感じ、排便をしてもウサギのような固く小さなものしか出ないのがこの便秘の特徴です。その原因はひとことで言えばストレスで、環境の変化や生活習慣の変化といった些細なことが引き金となる場合もあります。
また、痙れん性便秘が悪化すると下痢と便秘を繰り返す過敏性腸症候群というやっかいな病気に発展する可能性があるので放置は禁物です。薬による対処療法はありますが、根本的な改善をするには自分なりのストレス解消法を見つけるしかありません。
とりあえずは、規則正しい生活習慣を心掛けて身体的なストレスから減らしていくのが有効です。
直腸性便秘とは
直腸性便秘はその名の通り、直腸で便が滞ってしまうために起こる便秘です。
これは、寝たきりの高齢者にも見られる症状ですが、ほとんどの場合の原因は我慢によるものです。我慢が習慣化すると感覚が鈍ってしまい、直腸に便が溜まっても便意を感じにくくなってしまいます。それが続くと溜まった便が固くなってしまい、ますます便が出にくくなってしまいます。そのような場合、安易に浣腸に頼るのも禁物です。浣腸の習慣化もまた、直腸の感覚を鈍らせてしまうからです。
現代人は仕事が忙しかったり、周囲の目を気にしたりして便意を我慢する傾向にありますが、とにかく便意を感じたらすぐにトイレに行くのが一番有効な予防方法だと言えます。
もし、直腸性便秘になってしまったら便意がなくても決まった時間に便座に座るようにしましょう。トイレに行く習慣を身につけることで便意を感じやすくなるはずです。
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