研究から分かる漬物の効果

干したくあん内の血圧低下作用

宮崎県と宮崎大学の研究

たくあんというと塩分があり、むしろ血圧が上がるイメージがありませんか?宮崎県と宮崎大学、そして県内 12 社の製造業者などが運営する「宮崎県干したくあん・漬物研究会」*3 の共同プロジェクトの研究では、天日干しの工程経て、GABA(γ-アミノ酪酸)含有量を高まり、GABA 高含有県産天日干したくあんの日常的な摂取がヒトの血圧低下作用を確認したと発表されました。

「今回重篤な疾患を有しない日本人 21 名被験者を、8 週間毎朝、干したくあん 25g(GABA 量は約 26mg*6)を摂取する群とプラセボ群の 2 群に分けて臨床試験を行いました。たくあん群の収縮期、拡張期の血圧は、摂取前と比較して、それぞれ 5.2%、5.4%低下したことから、GABA 高含有干したくあんの日常的な摂取により、正常高血圧のヒトの血圧を低下できる可能性が示唆されました。」

宮崎記者クラブ(2017)「GABA 高含有の宮崎県産干したくあん ヒト試験で血圧低下作用を確認」宮崎県

血圧降下作用などが認められている機能性成分GABAの量は、天日乾燥2週間で約7倍にも増加することが分かりました。

下漬け干したくあん410gで、高含有で知られる発芽玄米100gに含まれる量と同等のGABA を摂取できることになると言います。塩分などを考えると、漬物だけでなく、玄米もバランスよく摂り入れると、血圧にも良い生活が送れそうですよね。

漬物の乳酸菌に腸内環境改善、美肌、集中力向上効果

漬物機能研究所のヒト試験での実証

東海漬物株式会社の漬物機能研究所は、漬物から発見された乳酸菌に腸内環境改善、美肌、集中力向上効果があることをヒト試験にて実証しました。

「漬物由来乳酸菌 Lactobacillus plantarum(ラクトバチルス・プランタラム)TK61406の摂取が腸内環境、肌状態および集中力に及ぼす影響」と題し、漬物から分離した乳酸菌の健康機能について発表」
(2018)「漬物から、腸内環境改善、美肌、集中力向上に有用な植物性乳酸菌を発見!」東海漬物

ヒト試験の内容は、20歳以上5 歳以下の成人男女30名に、試験食品を12週間連続摂取することで、検証。「摂取12週後の便中ビフィズス菌数」「摂取12週後の便中アンモニア濃度(腸内環境の悪化を示す腐敗産物の一つ)」「摂取 12 週後の顔肌の目立つ毛穴数」などの計測で有意性が示されました。

漬物の乳酸菌はとても強い

大腸疾患の専門医松生恒夫院長の見解

「漬物の乳酸菌は、ヨーグルトやチーズとは違った特長があることを、『医師が教える発酵食スープ』の著者でもあり、腸の専門医松生恒夫医師は、以下のように指摘します。

発酵食のなかでも特に注目したいのが、漬けものです。漬けものに含まれる植物性乳酸菌は、ヨーグルトとチーズに含まれる動物性乳酸菌と比べても生命力が強く、胃酸や腸液にも負けずに、腸まできちんと届くのです。そこで、松生先生は「パワフル乳酸菌」と名づけました。」
ShoPro (2018)「毎日のスープで体がよみがえる! 書籍『医師が教える発酵食スープ』が本日発売」tenki.jp

乳酸菌は成分として摂取するだけでなく、重要なのはいかに腸にまで届き、腸内細菌として働いてくれるか、この視点だ大事です。そう考えると、善玉菌を取る際は、ヨーグルトを進められますが、漬物もバンスよく摂っていきたいですよね。菌は多様に摂れば摂るほど、腸内環境が良くなります。いろんな菌を体に取り込んで、消化・代謝・分解の力を引き上げていきましょう。

発酵食品の専門家である東京農業大学の小泉幸道名誉教授の見解

過酷な環境で菌が育つ漬物は、腸内でも元気に行き届いてくれることを指摘しています。

「植物性乳酸菌は豊富とはいえない野菜のブドウ糖をエサに育ちます。漬物だるの中は塩分や酸が多く、しかも、寒い場所に置かれます。これは、菌にとっては過酷な環境。さらに、ヨーグルトほど衛生面は厳密に管理されないため、入り込んできたさまざまな細菌や酵母と生存競争をしながら生き延びます」(小泉さん)
日経Gooday編集部「乳酸菌、植物性と動物性のどっちが腸に届きやすい?」NIKKEI STYLE

衛生面が厳密に管理されないことは、腸の中の環境にとっては大事なことです。つまり、私たちは、清潔さについて、敏感になり過ぎているかもしれません。腸内環境を育み、免疫力や体内酵素量を高めていくことで、ますます、多くの菌を取り入れ、心身を豊かにしていくとも言えます。

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