高齢者の歩行中の転倒は、
大きな怪我につながることも少なくありません。
歩行中に足の上げ方に注意を払っていても、
わずか数センチの段差が転倒につながるのは、
当人がその段差を過小認識していることが原因です。
下肢の筋肉の衰えによって、
視覚から入ってくる情報を筋肉に伝える際の高さと実際の高さに
ズレが生じ、歩くことが大きな危険となります。
一歩一歩を確認しながら歩くという作業は、
現実的には難しいと思いますが、
歩くという動作の物差しを定期的に確認しておけば、
段差に対する対応も違ってきます。
わずかの数センチの高さの違いほど、誤認識の可能性が高いと言えます。
建築基準法においては、
階段の踏上寸法(階段一段の高さ)は230mm以下、
踏みづら(階段の踏み板の奥行き)寸法は150mm以上、
内法(階段の有効幅)750mm以上と決まっています。
視覚的にも明らかな段差として認識できますが、
和室と洋室の段差わずか数センチメートルが、
転倒の原因になります。
その高さの差によるつまづきを予防するためには、
バリアフリーが最も効果的ですが、
すべてをバリアフリーにすることは不可能です。
数センチメートルの高さをクリアするための備えを
日頃からしておく必要があります。
自らの身は自ら守る、言うのは容易いですが、
転倒につながるつま先の上げ方の衰えを、
どのように察知すればよいのでしょうか?
一番解りやすい兆候は、靴底の擦れる音です。
自分では普段と同じように歩いているのに、
靴の底と地面が擦れる音がするのは、
足の上げ方が十分ではないという証です。
その音が頻繁に聞こえるようになるならば、
数センチの段差で転倒する可能性が大きいと言えます。
自分の足が出している注意信号と考えましょう。
加齢による筋力の衰えは、自然です。
足の筋力の衰えに対応するために、
以下のことを日頃意識しながら歩いてみてはいかがでしょうか。
<足を心持ち上げ、踏みしめるように着地する>
足で地面を踏みしめるように歩きます。足を踏みしめようとすれば、
太ももを上げようとする意識が働きます。必然的に股関節を動かすことになり、
その結果、股関節の可動域が狭くなることを防ぐことにつながります。
<腕を前後に振ります>
手は軽く握り、歩調に合わせるように前後に振ります。
時間や距離は、各個人の足の調子によって違うでしょうが、
多少を問わず目標を持って続けることが、
転ばぬ先の杖となります。
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