日頃なにげなく使う、
どきどき、はらはらなどという言葉は、
総称して「オノマトペ」と分類することをご存知でしょうか?
声や音、動作や感情などを簡略的に表し、
情景をよりわかりやすく表現する言葉として使われるオノマトペは、
いつから使われ始めたか定かではありませんが、
もともと古代ギリシャ語が起源と言われ、
世界中で使われています。
日本では、
消防車のサイレンの音は
「ピーポーピーポー」ですが、
フランス語だと
「パーンポーンパーンポーン(Pin Pon Pin Pon)です。
フランスの時計の音は、
さすがに時計が外来の品ということで
「ティクタク(Tic Tac)」と日本の表現と似ていますが、
暮らしの中の音、
たとえば、
くしゃみは:「アチューム(Atchoum)」のように
ずいぶん違っています。
日本でニワトリの鳴き声である
「コケコッコウ」の発祥には
面白い逸話があります。
かつて明治維新以前には、
お国言葉と同様に、
各地で様々なニワトリの鳴き声があったそうです。
ところが、ある時期からこれが統一されます。
そのキッカケは、日清戦争です。
戦地へ赴く兵隊を全国から招集したところ、
各地の方言が障害となって、
上官のいうことを理解できないという事態になりました。
そこで当時の文部省が、
急務として標準語を作ることになりました。
1900年(明治33年)に国定教科書を作り、
この時作られた教科書に
ニワトリはコケコッコウと鳴きますと表しました。
コケコッコウという表現を
教科書に書いたため、
その後、コケコッコウが全国に広がっていきます。
では、同じ日本人なら皆、
同じように聞こえるのでしょうか?
日本に住んでいる日本人には「コケコッコウ」と聞こえても、
海外に移住した日系移民の子孫たちには
どう聞こえているのでしょうか。
ブラジルに移民した日系三世のお孫さんには、
「クィ クィ レクィ(qui qui requi)」と聞こえるのだそうです。
ご察しのとおり、
ブラジルの母国語であるポルトガル語の
オノマトペが馴染んでいるのです。
ちなみに
ニュージーランドのマオリ族の人には
ニワトリの鳴き声は「コケッコ(kokekko)」と
聞こえるそうで、たいへん興味深いです。
世界各国にオノマトペの言葉は存在します。
たとえば英語には
「デコボコ(bumpy)」、「キラキラ(twincle)」など
数百語があります。
しかし日本語は、他の言語と比べると非常に多く、
英語の5倍以上あるといわれています。
日本語は、
心象を様々なオノマトペを使って表すことができる
わくわくする言語といえるのではないでしょうか。
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