フレイルの意味を理解して、フレイルを予防しよう!

1.フレイルとは何のこと。語源は。

2.フレイルの定義

3.フレイルの原因・フレイルサイクル

3-1フレイルの原因

3-2フレイルサイクルとは

4.フレイルの症状と判断(診断)基準

5.厚生労働省が示しているガイドラインの概略

6.フレイルからの回復と予防にやってみると良いこと。

6-1フレイル予防と体力

6-2フレイル予防お考え方

6-3フレイルからの回復と予防に良い食事

6-4フレイルからの回復と予防に良い運動

1.フレイルとは何のこと。語源は。

「フレイル」とは、「年のせい」と表現されている様々な能力の低下を平成26年5月に日本老年学会が「Frailty」の日本語訳として紹介しました。「虚弱」や「老衰」、「脆弱」と日本語で訳されますが日本老年学会が紹介した「フレイル」の意味には「加齢によるからだの予備能力が低下した状態で、外界からの刺激(ストレス)に対する回復が遅くなり健康障害に陥りやすい状態」と説明しています。

2.フレイルの定義

「フレイル」を定義した日本老年学会の文章を紹介します。「要介護状態に至る前段階として位置づけられるが、身体的脆弱性のみならず精神・心理的脆弱性や社会的脆弱性などの多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態を意味する」と記載されています。

介護保険のサービスを利用できる人は40歳~64歳で加齢が原因の特定疾患のある人と65歳以上の人です。特定疾患にはがんの末期や筋肉がうまく動かなくなるパーキンソン氏病といった難病も含まれていますが「フレイル」に該当する人は介護が必要になる前の健康段階にある人です。

フレイルの状態にある人は身体が弱く自立した生活が難しく、心の弱さもかかえやすい上に、死につながるような多くの危険性をももった人だといっています。

3.フレイルの原因・フレイルサイクル

3-1フレイルの原因

加齢にともなうからだの機能の全般の低下を総合的に表わしたことばがフレイルです。フレイルと似たことばに「サルコペニア」や「ロコモ(ロコモティブシンドロームの略。運動器症候群)」という言葉も使われています。「サルコペニア」や「ロコモ」は放っておくと、健康寿命を縮める可能性が高いとしてフレイルの状態をまねく原因として最近、注目されるようになりました。

呼吸器疾患や心血管疾患、貧血、抑うつ症状があるとフレイルの状態に陥りやすく、抑うつ症状(気分が落ち込み意欲がなくなった状態)があると4.73倍あり栄養障害とともに注意が必要です。

3-2フレイルサイクルとは

フレイルサイクルということばがあります。加齢による変化は生まれた瞬間から始まり、視力、聴力をはじめ、胃酸の分泌低下による低酸症や胃炎、食欲がなくなる、便の排出速度が遅くなり水分の吸収が過ぎて便秘を訴える人が多くなる消化管の消化・吸収機能の低下もおこります。

たんぱく質の利用が悪いことから筋肉量の低下もおき貧血にもなりやすいく身長が短じかくなったとか腰や関節の症状を訴える人が多いのもうなずけます。また脂肪組織を調整する機能も成人に比べ5%も低下して著しく基礎代謝が落ちてきます。男性で 40 歳代、女性では 50 歳代です。このような変化が起きることを「歳だからしかたない」と表現しがちですがあきらめてしまうと、日常生活に必要な動作(activity of daily living:ADL)に問題が生じ「フレイルサイクル」にはまってしまします。

筋肉量の低下が移動やからだのバランスが悪くし、骨折の危険性が増し、危ないからと動くことを制限するとさらに筋力は低下しまいます。動かないから食欲は減り、危ないからと外出を避けると会話も少なくなり認知症に陥る。またそのことで動かない、動けないことへとつながることを「フレイルサイクル」といいます。

4.フレイルの症状と判断(診断)基準

フレイルの症状は「老化」を総合的に表現した加齢に関係するすべての症状になりますが、フレイルを診断する統一された基準はありません。2016年度に国立長寿医療研究センターが実施した「フレイルの進行に関わる要因に関する研究」の結果からフレイル評価基準を提案しています。

それによるとフレイルの診断に必要な項目は①体重減少、②主観的疲労感、③日常生活活動量の減少、④身体能力(歩行速度)の減弱、⑤筋力(握力)の低下の5項目をあげています。そのうち 3 項目が当てはまるとフレイルと判定され、1~2 項目が当てはまる場合はフレイル前段階(プレフレイル)と判定されます。該当項目0の場合は健常です。この判断基準をフレイルの症状ととらえても良いでしょう。

介護保険事業では生活機能評価をおこなうチェックリスト(質問票)を開発しています。簡易チェックもあり「指輪っかテスト」はふくらはぎの周りを左右の手の親指と人差し指でつくった輪の隙間でチェックできる方法を推奨しています。

出典:公益財団法人長寿科学振興財団https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/shindan.html

5.厚生労働省が示しているガイドラインの概略

日本の高齢化率は2025年には30%になると予測されています。医療費は54.0兆円、介護給付費も19.8兆円に達するとされています。そのため社会保障制度を安定して運営し続けるために厚生労働省は「高齢者の特性を踏まえた保険事業ガイドライン」を作成しました。高齢者が安心して暮らせる地域社会を支える仕組みづくりとして2019年4月にガイドラインは発表されました。

「高齢者の特性を踏まえた保険事業ガイドライン」はフレイル、サイコぺニア、認知症といった加齢に伴う諸臓器の機能低下は「多病」や「多剤処方」におちいることを示しその対策を進めようとしています。病気であるのかフレイルの状態なのかを判断することは重要なカギになるようです。病気だと思って多くの薬を飲んでしまってはいないか、高額の医療費を支払うことにつながってはいないかを国の政策として進めていこうとしています。

医療を必要としている人は後期高齢者で98.8%あります。具体的な保健事業のガイドラインを示し高齢者の特性に合った事業を進め、健康不安を減らして住みなれた地域で自立した生活が送れるようにする目的をもったものです。レセプトや健康診断の結果を利用する「データーヘルス計画」と呼ばれ取り組みや低栄養の防止や誤嚥による肺炎予防も提示されています。今後は医療機関や地域にある各団体や機関が協力して進めていける施策です。

参考:厚生労働省ホームページ

https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000362865.pdf

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042643.pdf

6.フレイルからの回復と予防にやってみると良いこと。

6-1フレイル予防と体力

歳のせいと思いがちな虚弱なフレイルの状態は、改善できることがわかってきました。体力は80歳代では実年齢との差がプラスマイナス20歳もあるという調査結果があります。健康寿命と体力の関係はフレイルと体力の関係でもあり、筋肉を増やすことはフレイルの回復と予防に大きな役割をもっていることがわかってきました。フレイルは主に後期高齢者を対象としたことばで使われ介護保険のサービスを受けるようななった原因には「認知症」「転倒」「高齢による衰弱」があります。

6-2フレイル予防お考え方

フレイル予防は体力と関係のある筋肉をつくることです。運動だけではなく筋肉や骨をつくる栄養素を心がけることもフレイル予防には含まれています。フレイルの主な原因はサイコぺニアと低栄養だと指摘されているからです。レジスタンス運動をおこなって筋肉の合成や骨密度の維持を図ることが重要になります。 レジスタンス運動とは筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返す運動のことです。

6-3フレイルからの回復と予防に良い食事

長寿の人に秘訣をたずねると3食をきちんと食べて、肉をよく食べていると答えています。家に閉じこもらない生活を楽しんでいるとも話してくれます。食事は筋肉の基であるたんぱく質を多く含んだ肉、魚・大豆製品をお勧めします。タンパク質は1日男性で66g、女性で55g必要といわれ、フレイル状態からの回復や予防には低下する筋肉の減少を抑えることと、骨密度を保つたんぱく質、カルシウム、ビタミンDをとることが必要です。

6-4フレイルからの回復と予防に良い運動

運動不足は筋肉を細らせバランスを悪くします。そしてフレイルの状態を悪化させてしまう、「フレイルサイクル」と呼ばれる回転するような方向性があります。言いかえると原因が原因を呼ぶ「サイクル」になっています。フレイルサイクルを断ち切るためにはレジスタンス運動を取り入れる必要があります。レジスタンス運動とは自分の体重を抵抗(負荷)として使う運動です。レジスタンス運動には摂取たんぱく質を筋肉に変える筋肉合成を高める働きがあります。

骨量を増加させる運動には、スクワット、上体おこし、ランジ(足を大きく1歩踏み出す)などが紹介されています。ジャンプや縄跳びといった骨にひびくような瞬発力のある運動も有効ですが、運動不足だった人や高齢者の場合、突然レジスタンス運動を始めるのは注意が必要です。安全性も考慮する必要がありニコニコペースでできるウォーキングやジョギング、水泳といった「有酸素運動」が効果的です。

突然慣れない有酸素運動やレジスタント運動をしてしまうと関節や筋肉に痛みがでて、運動する意欲を無くしてしまいます。運動後の心地よい感覚も残らず三日坊主の負い目も加わって運動を諦めてしまうこととなります。運動することが逆にフレイルの状態を悪化させるという結果になってしまいます。

そこで運動から遠のいている人や高齢の人におすすめは室内で横になってできるもの、椅子に掛けてできる運動から始めると良いでしょう。ストレッチに抵抗を加えるような動きや座ってできる「貧乏ゆすり」のような運動でも十分に効果を得ることがわかってきました。テレビを見ながらできる生活の中に溶け込んだ運動だと習慣化もでき、三日坊主の悩みからも開放される方法です。

運動方法の認識を変えたジグリングと呼ばれる「貧乏ゆすり」のような簡単な動きでも軟骨の形成に良いとの研究結果が紹介されました。股関節や膝の軟骨再生や手術後の回復期に利用されています。痛みにも効果があるとされていますがレントゲン検査で軟骨が確認さるには2年ぐらいかかります。骨の新陳代謝は1~4年であることからすれば間違いなく効果はあるのでお勧めしたい運動です。

貧乏ゆすりに似たジグリングの方法は、椅子に座って、膝関節と股関節を直角にした姿勢で座るのが基本です。踵を2センチ程度、上げ下げする動きをします。できるだけ早く上下させた方が効果はあります。この様子がまるで貧乏ゆすりをしているように見えることから貧乏ゆすり(ジグリング)」と呼ばれていますが無理のない程度から始めるのがコツです。

「歳をとったから」と冗談に言える年齢がフレイル予防を始める年齢のようです。重症化させないために具体的な行動目標として、BMIを25以下になるように目標を立てて、骨、筋肉系への負担を減らすことと習慣化できる運動を取り入れてみることが予防には良いようです。

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