ストレスと腰痛

二本足歩行の人間にとって、
腰の痛みとは残念ながら
宿命的な付き合いがあるといえます。

もともと痛みは、
生物にとって必要な情報です。

というのも重いものを持って、
筋肉に感じる負荷の大きさや
関節に加わる外からの圧力に対する
過度の負荷によって、
耐えられない限界点を
痛みという信号で知らせてくれるわけです。

全く痛みを感じないほうが
正常ではないということになります。

その筋力や関節の限界を知っているからこそ、
心身ともに健康でいられるわけです。

したがって、腰痛があるということは、
ある意味正常な体であるという証でもあります。

とは言っても、腰痛によって日常生活に
支障をきたしているのであれば、
少なくとも不自由なく過ごせるレベルまで
痛みを軽減することは、必要です。

一般的に、腰痛や発熱の治療には、
非ステロイド性抗炎症薬が使われます。

非ステロイド性抗炎症薬とは、
抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用の効果がある
薬剤の総称です。※1

しかし、ストレスによる腰痛の場合には、
違った薬を処方されることもあります。

それは、抗うつ薬や抗てんかん薬です。

うつ病の治療に使われ薬が、
腰痛の治療に使われることは、
以外と思われるかもしれませんが、
抗うつ薬には、
セロトニンやノルアドレナリンといった
神経伝達物質が細胞へ取り込まれることを阻害して、
痛みを感じにくくすることで、
鎮痛効果がみられたり、
抗てんかん薬によって、
神経細胞にある神経伝達物質の受容体と呼ばれる部位の
過剰な興奮を抑制することで、
鎮痛効果が期待できます。

ストレス性の腰痛には、
痛みについての誤った認識を修正する「認知療法」と、
痛みと行動の関係を知り、
日常生活でできることを増やしていく「行動療法」を
組み合わせた「認知行動療法」という、
心と体の両面から治療を行う方法があります。

※1:独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センターによる定義

痛みを予測することで痛みを治す–へ続く

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