人間は、動物の中でも仲間同士での協調性や
他人を思いやる道徳という意識を持っている
唯一の霊長類であると考えられています。
しかし、オランダの動物行動学者フランス・ドゥ・ヴァールは、
チンパンジーを使って、
相手を思いやる能力が人間以外にもあることを実証しました。
その実験とは、日頃は屋外飼育されているチンパンジー2匹を、
実験室の並べたオリに入れ、
片方のチンパンジーにだけ餌を与えます。
餌やりにはルールがあり、オリの中にある緑と赤の筒を、
飼育員に渡すと餌をもらえるというものです。
赤の筒を渡せば、自分だけがエサをもらえます。
緑の筒を渡すと、自分と隣のオリにいる
チンパンジーの双方がエサをもらえます。
筒を選ぶチンパンジーにとって、
赤、緑いずれの筒を渡しても、自分はエサをもらえますが、
緑を選べば、仲間も餌を手に入れることができます。
つまり他者の幸せを思いやれるということになります。
実験の結果、チンパンジーは仲間も餌を手に入れることができる
緑の筒を意図的に選ぶことが明らかになりました。
さらに研究を進めると、仲の良いお隣同士は、
緑の筒を選ぶ頻度が高まり、逆に威嚇するお隣さんに対しては、
その頻度が下がるということです。
まるで私達の周辺にも出てきそうな状況です。
この実験結果には、ご近所さんが気持ち良く暮らすための示唆に富んでいると言えるでしょう。
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