桐タンスは厄介者?

新築住宅への引っ越しの際に、
家具の持ち込みを減らすため、
ウォークインクローゼットや、収納スペースが
住宅設備として備え付けられている
規格住宅が増えたきました。

たしかに引っ越しで、
大きなタンスを持ち出し、
運び入れる作業は、
大人が二人がかりでやらないとできませんので、
備え付けの家具は、大変ありがたいものです。

嫁入り道具でいただいた桐のタンスも、
新しいデザインの家にはそぐわないということで、
廃棄処分にされたという話を聞けば心痛みます。

というのも桐のタンスには、
日本の風土に適合したすばらしさがあるからです。

まず桐の木は、
木質が非常に均一という特徴を持っています。

音響効果もよいため
楽器用の材料にも向いてます。

さらに、湿気に対する反応のきわめて早く、
かつ吸水率の非常に低い特性をもっています。

表面は 湿気や水分に敏感に反応しますが、
内部までには湿気が侵入しません。

着物や反物を守るために
桐タンスが使われる最大の理由です。

一番特徴的なのは、燃えにくいことです。

熱の伝導が遅いために全体的な発火が遅く、
実際の火事などで表面が炭化したにもかかわらず、
タンスの内部までは火が届いていなかったという事を
聞くこともあります。

最近のカラフルな家具の塗装面は、
石油系の塗料が使われていますので、
発火点が低く、
塗装面が燃えやすいです。

今の衣類の規格を考えると、
吊り下げるタイプのクローゼットが便利なのでしょうが、
衣類を守るという点では、
桐のタンスに勝るものは、
ほとんど見受けられません。

日本の風土にあった素晴らしい家具として、
大切に守り伝えていきたい逸品です。

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