バラ栽培の歴史は古く、
紀元前13世紀前半にはエジプトで観賞用の花として
栽培が始められています。
世紀の美女クレオパトラも、
バラをこよなく愛した人物として知られていますし、
古代ローマにおいても宗教的儀式や祭りで使われる
神聖な花であったと伝えられています。
ドイツ語でバラ園を表す「rosarium:ローザリウム」の語源は、
古代ローマ時代のバラ園の呼び名からきています。
このような歴史を経て品種改良されたバラは、
花屋の店先で美しさ競っていますが、意外なことに
芳しい香りを放つ観賞用バラには、ほとんど蜜がありません。
蜜があるのは、日本古来の原種である野バラ(Japanese rose)や
ダマスクローズのようなオールドローズ種です。
そこで、今回は、ダマスクローズと人とミツバチの
関わりについてご紹介しましょう。
バルカン山脈の南側に位置するブルガリアのカザンラク一帯には、
バラの谷とよばれるダマスクローズの一大生産地があります。
ここで育てられているダマスクローズの栽培規模は広大で、
谷沿いに広がるバラ農園の全長は150kmにも及びます。
ダマスクローズは、観賞用ではありませんし、
ハチミツ用に栽培されているバラでもありません。
香油としてローズオイルを採取するために育てられています。
ダマスクローズの花は5月~6月にかけて咲き、
この時期に行われるバラ摘み作業は早朝4時から始まります。
気温が上昇するとバラの香り成分飛散してしまうので、
22℃になる10時頃までには収穫を終了しなければなりません。
バラの摘み作業が終る頃、気温が上がってくると
ミツバチは花の蜜を集め始めますが、
ダマスクローズの花は既に摘み取られた後です。
花のないバラ園をさ迷うかわいそうなミツバチを想像してしまいますが、
農民はミツバチ用に一部の花を摘まずに残しておきます。
人間とミツハチが共に生きるためのちょっとした気配りです。
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